写真の基本Ⅰ

写真は感動を撮る

「奇麗だな」「素晴らしい」「ワクワクするな」「初めて見るな」など心が揺さぶられる感動した瞬間がシャッターチャンス。

感動して人に知らせたい事柄など、自分の心が震える瞬間は何かをしっかり確認することが大切。

何を見て何が良くて何に感動したのかを言葉にしてください。
「残雪が奇麗」「朝日に色づいた山が奇麗」「湖の水面がまっ平で山が写り込んでいる」「アザミの花が奇麗」・・・など。

お子様の写真を一番良く撮れるのは、お子様の一番可愛いところを知っている貴方が一番上手く撮れるはず。
「笑顔が可愛い」「ご飯を食べている姿が笑・・える」「喜ぶ姿が愛おしい」など、身近にいるから撮れる写真が沢山あります。


シャッターを切る前に一寸考える!

・何を撮りたいのか
  感動した事は何?
→日の出前のマジックアワーで空が明るくなりかけ、でも未だ星がみえている。磐梯山もシルエットでみえている。

・どのように撮りたいのか
→夜明けの静けさと日の出前の空の色の移り変わりと、星空の感動を写し込みたい。

・主題をどこに配置すれば良い?
→湖の中にある木々が湖面に写り込む様を左下に配置、もう少し上でもよいか?
もう少し上に配置すると星の輝く空の広さを表現できない!

・副題(脇役)は何?
  主題を引立てる副題を配置する
→磐梯山の強烈なシルエットを脇役であれば良い。


シャッターを切る前に確認する事

・撮影モードを決める 
  何をどのように撮りたいかで決まります。
  手前から奥まで写したいのか、一瞬を切り取りたいのかなど・・・

・どこにピントを合わせるかを決める
  主題は何かを決めます。 

・ホワイトバランスを決める
  色味を考えホワイトバランスを決めます。

・ピクチャーコントロールを決める
  どのような雰囲気の写真にしたいのか

・構図を決める
  主題(主役)と副題(脇役)の配置とバランスを考えます。
  ※主題は重く副題はやや軽い、画面全体の中でのバランスを考えます。

見せたくない物が入り込んでいないか画面隅々まで確認
  ※写真は減算の芸術と言われ、不要な物を画角内から排除するかが
   問われます。(反対に絵画は加算の芸術と言われているようです。)

・明るさ補正を決める
  明るさ補正で作品の雰囲気が全く違って来ます。
   ハイキーとローキー 
  ※適正露出は撮影する作者の思いです。 正解はありません。

・画面の中に白トビ、黒つぶれはないかを確認
 


私の場合

1.具体的な被写体を決めるどんな写真をどのような状況の中で撮りたいのかを決めます。

2.よりベターな撮影環境となるように、撮影予定日・撮影場所・予定日の天気・雲・風を時間毎にネットを活用して徹底的に調べます。
  参考アプリ 天気:Windy   星:ステラナビゲータ 

3.下調べの結果により撮影場所の変更や撮影目標の変更をします。
 そしてそれに合わせた撮影機材の準備をします。時には断念することもあります。
 
勿論、自然が相手なので思った通りにならない事がほとんどです。

露出(明るさ)を決める

どんなに良い被写体と出会ってシャッターを切っても、画面が明かる過ぎたり暗過ぎたりしていては、せっかく写真も台無しです。

露出が小さければ(取込む光の量が少ない)暗い写真(ローキー)、反対に露出が大きければ明るい写真(ハイキー)になってしまいます。

部分的に暗すぎると真黒に写り「黒つぶれ」、部分的に明るすぎると真白に写り「白トビ」していると言われます。

「白トビ」している所に目線が行ってしまう為、あまり好まれないようです。
反対に「黒つぶれ」も真黒で何も見えないため嫌われるようです。

私の場合 

私の場合は「白トビ」も「黒つぶれ」も必ずしもダメとは思いませんが、極力「白トビ」はできるだけ発生しないように撮影しています。
「白トビ」も「黒つぶれ」も表現上必要な場合があると思います。

余談ですが、「黒つぶれ」は撮影後パソコンのソフトを使いレタッチで救える可能性が多々あります。 
  ※参考 「白トビ」「黒つぶれ」のレッタッチによる救済

※カメラを手にしたら「白トビ」「黒つぶれ」を気にする事なく、「感動したもの」「気になったもの」を取敢えずひたすら撮る事が初めは大切です。

露出決定の要素は次の3項目

1 絞り (F値)(A・AV)
2 シャッタースピード(S・TV)
3 ISO感度

 

レンズの中にある光が通る隙間穴を絞りと言います。

その隙間穴は、絞りダイヤルを操作することで、穴の径を大きくしたり小さくしたりして通過する光りの量を調整します。

「絞り値(F値)を小さくする」と通過する光の量は多くなり、画面は明るくなります。
「絞り値(F値)を大きくする」と通過する光の量は少なくなり、画面は暗くなります。

「絞り」「f値」の言葉に注意

光が通る隙間穴の径を大きくする事を
「絞りを開ける」又は「絞り値(F値)を小さくする」と言います。

反対にその穴の径を小さくする事を
「絞りを絞り込む」又は「絞り値(F値)を大きくする」と言います。

  ・・・話が難しくなりますがよく覚えておいてください。


動物の瞳

カメラの絞りは人間や動物の瞳にあたります。

瞳は明かるい時は小さくなり、暗い所では大きくなります。
暗い場所から急に明るい場所に移動すると、眩しくて見えにくくなります。反対に暗い場所に長い時間いてしばらくすると少しずつ周りが見えてきますよね。
それは瞳が大きくなったり小さくなったりしているからです。

カメラも同様に、人間の瞳にあたる「絞り」を小さくしたり大きくしたりする事で適正な露出に調整されます。



光りがレンズを通過しイメージセンサー(受光素子)に届き続けている時間を言います。

メージセンサーに届いている時間が長い事を「シャッタースピードを遅くする」
反対にメージセンサーに当たっている時間を短くする事を「シャッタースピードを早くする」と言います。

「シャッタースピードを早くする」と取込む光の量は少なくなり、画面は暗くなります。
「シャッタースピードを遅くする」と取込む光の量は多くなり、画面は明るくなります。


シャッタースピードを変える事で、取込む光りの量が変化する他に、動いている被写体を止めてみせたり、動いている様子を表現したりする事ができます。

 

受光素子が取込んだ光を感じる感じやすさを表す指標です。

光量の足りない場所でも、ISO感度を上げる事で、速いシャッタースピードで写真を撮る事が可能となります。

反対にシャッタースピードを遅くして撮影したい場合は、ISO感度を下げる事でスローシャッターが切れるようになります。

但しISO感度を上げるそれに伴いノイズも大きくなり画像が乱れてきます。
諸刃の剣ですね。
ISO感度の数字を大きくすれば、暗い所でも写真が撮れるようになります。 しかし感度と共にノイズも大きくなりますので注意が必要です。


被写界深度

ピントを合わせた部分より手前側と奥側の、ピントが合っているように見える範囲のことを言います。

通常、被写界深度は 絞り値(F値)、レンズの焦点距離、撮影距離で変わります。
 ※ピント中心より左右のピント範囲は変わりません。

深い被写界深度
被写界深度が深くなると、ピントが合っているように見える範囲が広くなり、手前から奥までの被写体がハッキリ見えて来ます。
※広角側で絞りを絞る 又は 被写体から遠くに離れると 深くなります。

浅い被写界深度
被写界深度が浅くなると、ピントが合っているように見える範囲が狭くなり、ピントの合っている被写体の前後がボケて見えるようになります。
※望遠側で絞りを開く 又は 被写体に近づくと 浅い被写界深度になります。


参考: 過焦点距離

ピントを合わせた部分の前後のピントが合っているように見える範囲(被写界深度)が無限遠にまで達するピント位置のことをいいます。

 ※ フルサイズ 焦点距離24mm  絞りf8    過焦点距離  2.4m
   フルサイズ 焦点距離50mm  絞りf16   過焦点距離 5m

過焦点距離を参考にすることで絞り込まなくてもパンフォーカスで撮影できるピント位置と絞り値になります。マイクロフォーサーズの場合はフルサイズの半分の絞り値でパンフォーカスになるようです。

ホワイトバランス

ホワイトバランスとは被写体に当たる光りの種類により白い物を白い色に撮影する為の色味を調整する機能です。
ホワイトバランスを変える事で撮影した写真の雰囲気を変える事ができます。

ホワイトバランスの色味を調整する基準は白色です。
白色の調整をすることで白色以外も本来の色に近く調整されたとしています。

青空なのか、曇り空なのか、室内なのか、室内で使っている照明の種類によって白色が青よりになったり赤色よりになったりします。

ホワイトバランスをあえて崩すことで写真の仕上がりの雰囲気を変化させます。
たとえば、ホワイトバランスを電球マークに設定すると青味が増し、日陰マークに設定すると赤味が増した写真となります。

赤やオレンジなど「暖色系」の色味は「暖かで穏やかな印象」を与え、青や水色などの「寒色系」の色味は「冷たさや緊張感」を与えます。

通常ホワイトバランスを「オート」に設定すると、白色をだいたい白色に近い感じに写るようになります。
カメラメーカーは基よりカメラの機種によってもそれぞれ個性があり、特に室内での撮影になると同じお部屋の中で蛍光灯と同時に電球を使っていたり最近ではLEDなども使われていて、「オート」に設定しても中々適正なホワイトバランスをとるのが難しいようです。

「オート」に設定しても適正なホワイトバランスがとれない場合は「プリセットオートホワイトバランス」があります。活用してみてください。

色味は撮影する人により、色の感じ方や好き嫌いがあります。ですからその色目を自分なりの色味にする為にホワイトバランスがあります。

 

ピクチャーコントロール ・ピクチャースタイル

カメラメーカーによって名前のつけ方、詳細設定(味付)は違っていますが、ここでは代表的な項目をお話いたします。

写真表現や撮影シーンに合わせ予め用意された項目を選ぶだけで、効果的な画像特性を持った画像の仕上がりとなる機能です。

・オート
 色合いや階調をカメラが自動的に調整します。

・ニュートラル
 あえてカメラ側で色合いや階調等を大きく変えることなく、 撮影後に画像の調整加工をするのに向いています。

・ビビット
 メリハリのある色鮮やかな画像となります。

・風景
 自然風景やスナップショットなどを色鮮やかな印象的な画像となります。

・ポートレート
 人の肌色が奇麗で自然な画像になります。

・モノクローム
 白黒やセピアなど単色の濃淡で表現した画像となります。

・他

 

測光モード

カメラが露出を決める為に光量を計測する為のフォームを言います。
代表的なものは次に表示するものです。

・マルチパターン測光
 画面全体の明るさを測定し、色や距離などの要素を加え露出を決定します。
 →撮影後に明暗差が出にくく平均的な画像になります。

・中央重点測光
 画面中央部の明るさを測光し、露出を決定します。
 →画面中央に被写体を配置し、その被写体の明るさを基準としたい時に使用。

・スポット測光
 フォーカスポイントと一緒に測光エリアが移動し、ピントの合っている部分を重点的に測光し露出を決定します。
 →自分が狙っている部分の明るさを適正露出にします。しかしその周りは極端に露出アンダーになったり、露出オーバーになったりします。逆光で人物を被写体として顔にフォーカスポイントを持って行くと、その人物の背景が白トビしてしまう可能性が高くなります。

構図

自分の撮りたい被写体が画面全体の中で一番引立てられる位置を探す事が構図を考える第一歩です。

構図を考える前にファインダーを覗きながら、主役(主題)を画角内に置き上下左右にカメラを少しずつ振って見てください。
主役(主題)を脇役(副題)が盛上げている落ち着きの良い場所があると思います。

次にその落ち着きの良い場所にある画面の中に不必要な物が写り込まないかを見ていきます。
最後にピントや露出を考えて撮影します。

最初は、三分割構図と言われる代表的な構図を画面に当てはめ、構図を考えて下さい。

白い雪で覆われた湖の向こう岸に赤い鳥居がありました。
どこにレンズを向けても白一色の風景な為、カメラのファインダーに表示される三分割構図のガイドラインの右下の交点に赤の鳥居を配置してみました。


写真を撮る時に構図ばかりに気を取られるのではなく、まずは主役(主題)を画面の中に自分が気持ち良いと思うところで、シャッターボタンを押してください。

次に三分割構図のガイドラインを表示して構図にはめてシャッターボタンを押してください。この際、決して何としても構図にはめ込むような事はしないでください。基本構図にのっていなくても落着きの良い写真は必ずあります。


主役(主題)と脇役(副題)がバランスよく配置されて写真の端から端まで目線が届く写真、被写体に方向性ある場合はその方向性を遮らない、且つ窮屈さを感じさせない写真、画面全体に見えるポイントがバランス良く配置されている写真が一般的に良い写真と言われているようです。


※ビジュアルウエイト
仮に主役(主題)、脇役(副題)その他の題材に重さがあったとして、それらの題材が画面に配置されている写真を、画面の中央一点を支点として持ち上げた時に真直ぐ引き上げられる事がバランスの取れた写真と言えるかもしれません。


光りの方向を考える

被写体に対して光りの当り方当る方向により、被写体の印象が大きく変わります。
順光
 撮影者の後ろ背中の方向から光りがさしている状態です。

逆光
 撮影者の前から光りがさしている状態です。

サイド光
 被写体の右又は左から光りがさしている状態です。